今日は、最近話題になっている
「毒親」について書くことにします。
「毒」と付くと、
とても恐ろしいもののように聞こえますが、
そのイメージに惑わされず、
今日は少し冷静にその言葉と向き合ってみることにします。
まず、「毒親」という言葉を
初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれないので、
少し解説してみます。
「毒親」は、毒になる親の略で、
“毒と比喩されるような悪影響を子でもに及ぼす親、
子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念”
と言われています。
言葉の発祥としては、1989年にスーザン・フォワードという
アメリカの医療関係のコンサルタント・グループセラピスト・インストラクターが
作った言葉だそうです。
毒親として訴えのあるタイプは、
(1) 過干渉
(2) 育児放棄(ネグレクト)
(3) ケダモノのような親(激しい暴力や暴言・性的虐待など)
(4) 病気の親(周囲の適切な支援と保護が必要な精神障害の親など)
の、4タイプに分かれると言われています。
非常に繊細な問題であるが故に、
影響や批判も大きいこの言葉ですが、
ただひとつ言えることは、
「毒親になりたくてなった人はいない」
ということです。
人間は皆「愛情」を持って生まれてきました。
それはいつの時代もそうです。
しかし、人間は大昔から階級で人を区別し、
戦争で国を統一してきました。
人の心はずっと置き去りにされてきました。
そうして、ようやく最近少しずつ物が豊かになり、
だんだん「人の心」の大切さも考えられるようになってきました。
日本でも、戦後の高度経済成長期があり、
バブルの崩壊があり、
リーマン・ショックがあったからこそ、
物では豊かになれないことを私たちは知りました。
戦後の必死の復興…
働くことが一番大事とされていた時代…
そんな中で、人々はそれが正解だと思って必死に生きていた…
にも関わらず、
「毒親」になってしまった人は少なくないのではないだろうか…と
私は思うのです。
子どもに愛情をかけたかったけど、
生きていくのに必死で子どもに構っていられなかった人が
結果的に「毒親」になっているのかもしれないと思うのです。
「毒親」という概念は、
子ども側から見た概念であり、
過去と親に注目して論じられることが多いような気がします。
しかし、一度振り返っていただきたいのです。
もし、自分が母親の人生だったら…
もし、自分が父親の人生だったら…
何を感じ、何を求めていたのだろう…と。
毒親の子どもは、確かに被害者かもしれません。
しかし、自分の加害者もまた、被害者である場合が多いのです。
そして、その加害者である人も、また被害者…
というように、悪の連鎖になっているのかもしれません。
今、私たちにできることは、
「毒親」を恨むのではなく、
自分が今まで感じてきた…
嫌だったこと
辛かったこと
トラウマになっていること
思い出したくないことも
「すべて!」
自分で吐き出すことなのです。
そして、
ひとつひとつ
「嫌だったね…」
「辛かったね…」
「大変だったね…」
と、自分で慰めていくしか方法はないのです。
人のせいにすることは、簡単です。
でも、それだと、
ず~っと嫌な気持ちが自分の中に残ります。
“嫌だなぁ…”と思って生きていると、
また別の“嫌だなぁ…”が表れます。
そして、どんどん自分が苦しくなっていきます…。
自分の苦しさは、周りの人にも影響を及ぼします。
人間関係がうまくいかなくなったり…
仕事がうまくいかなくなったり…
家族がバラバラになってしまったり…
そして、病気など自分の体にも影響が出始めます。
私の父は、56歳のとき、癌で亡くなりました。
父はとても優しい人で、
決して人の悪口は言わないし、
不平不満も言わない人でした。
父は、きっといろいろなことを
心に留めていたのだと思うのです。
人には言ってはいけないと思っていたことが、
きっとたくさんあったのだと思います。
そして、それが自分の体を蝕んでいったのだと思うのです。
癌は遺伝性があると言われていますが、
それは、
頼まれると断れない…
自分よりも他人を優先させてしまう…
怒りを外に表すことができない…
という、いわゆる癌になりやすいとされている
「いい人」の性格が遺伝されているからではないだろうか?
と、私は思っています。
「いい人」というと聞こえはいいですが、
自分よりも他人を優先してしまう人の多くは
「セルフコンパッション」が低い傾向にあります。
「セルフコンパッション」を日本語にすると
「自己受容力」なのですが、
簡単に言うと、
「自分を受け入れる力」のことです。
「ほら、やっぱりダメじゃん」
「私にはしょせん無理なのよ」
「私が〇〇だから、こんなことになったんだ」
「また失敗するよ、やめとけ」
「全部私のせい」
「もっと頑張らないとダメだ」
…と、無意識に思っていないでしょうか。
私のセッションでは、この「内なる批判者」を
「内なる理解者」に変えていくことを一番最初に行います。
過去を振り返り、
自分のネガティブな感情を洗い出し、
洗い出し…
洗い出してから、
自分を慰め、
自分に許可ができる
そして、すべてに感謝できるあなたに変わっていくことができます。
親への恨みを克服するということは、
恨みの感情をしっかり感じきり、
別の意味づけをするということ。
すなわち、過去の自分にとらわれることなく、
自分の生きている価値を感じて生きていける人になるのです。
今日も、最後までお読みくださり、
ありがとうございました♪